White puzzle

その中のどれにも噛み合っていないような気がするのです。

1.語るということ



例えば、今、私が誰かと対話をしていたとして。

例えば、「りんご」という単語を発したとして。

果たして本当に相手は私と同じ物体を思い描いているのだろうか。

もし、相手が別の物を思い描いていたとしたら?その先の対話は、話し手と聞き手にとって違う意味を持つものになる。


「りんご」ならば確かめることは容易いし、確かめればいいのだろうけれど、日常生活の中で逐一、単語単語を手に取ってそんなことはしていられないし。


人に何かを語るとき、どことなく薄氷を踏んでいるような気持ちになるのは、そういうことのような気がする。